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ベイズ統計学入門 [統計学]

■ベイズ統計学を学ぶには
日本でもベイズ統計学に関する本が増えてきました。RやWinBUGSの普及ともにベイズが身近な存在になってきています。しかし、入門書などでは「主観確率」を扱えてビジネスに有用とか書いてありますが、なかなか一般企業でビジネスに使われている状況にはなっていないのではないかと思っています。

その理由はベイズモデルの複雑さ(柔軟さ)にあるのではないかと思います。たとえば、普通のロジットモデルに慣れてしまうと、階層ベイズを使ったロジットモデルを理解するのにちょっとしたハードルがあるように感じられます(少なくとも私はそうでした)。WinBUGSというMCMCサンプラーでモデリングするんだ~というところはなんとなく分かるんですが、モデル式をどのように記述すればいいのかイマイチ想像がつかないのです。

これから紹介する本のようにこのあたりの学習のしづらさを補うものが登場してきましたが、まだまだ入門~中級あたりをサポートする書籍が少ないのが現状のようです。様々なBUGSモデルとRコードを併記したベイズモデルの事例集があると便利と思うのですが、どこかの出版社で企画してくれないかな・・・。

そんなんなこんなで、以下、ベイズ上達のために有用と思う書籍を列挙しようと思います。頻度主義統計学(フツーの統計学)をある程度理解している前提です。小生は頭が良くないのでベイズを理解するのにとても時間がかかりました(今でもちょっと知識があやしい)が、これらの本を組み合わせれば理解が深まることでしょう。

■ベイズを理解する上で有用な和書

データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学)

データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学)

  • 作者: 久保 拓弥
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2012/05/19
  • メディア: 単行本


・この本を久保先生が出版してくれたおかげで初級~入門の知識をさくっと入手できるようになりました。BUGSやRコードも著者サイトからダウンロードできるし言うことなしです。ベイズを勉強しよう!と思ったら必ず入手すべき本です。


ベイズ統計学入門

ベイズ統計学入門

  • 作者: 渡部 洋
  • 出版社/メーカー: 福村出版
  • 発売日: 1999/09
  • メディア: 単行本


・久保先生の本は直観的にベイズを理解できるようになっていますが、理論が手薄です。ベイズ理論の入門はこの本が優れています。頻度主義統計学からベイズ統計学の理論的な架け橋になっています。数式と図のバランスが絶妙です。ただし、この本にはMCMCの記述がないので別の本で勉強する必要ががあるでしょう。


計算統計 2 マルコフ連鎖モンテカルロ法とその周辺 (統計科学のフロンティア 12)

計算統計 2 マルコフ連鎖モンテカルロ法とその周辺 (統計科学のフロンティア 12)

  • 作者: 伊庭 幸人
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2005/10/27
  • メディア: 単行本


・MCMCについては伊庭先生のこの本が決定的に分かりやすいと思います。上記の久保先生の本と合わせれば基礎は十分でしょう。


ベイズ統計データ解析 (Rで学ぶデータサイエンス 3)

ベイズ統計データ解析 (Rで学ぶデータサイエンス 3)

  • 作者: 姜 興起
  • 出版社/メーカー: 共立出版
  • 発売日: 2010/07/24
  • メディア: 単行本


・過去何回か紹介しましたが、この本は名著だと思います。Rコードが豊富です。しかもほとんどパッケージが使われておらず、アルゴリズムがRコードで実装されていますので、コードを解読するとアルゴリズムが理解できます。どちらかというと時系列解析をベイズでやりたい人向けですが、MCMCのサンプルコードも登場するので、階層ベイズに興味がある人にとっても有用と思います。


Rによるモンテカルロ法入門

Rによるモンテカルロ法入門

  • 作者: C.P.ロバート
  • 出版社/メーカー: 丸善出版
  • 発売日: 2012/08/23
  • メディア: ムック


・石田先生のMCMC本。Rのサンプルコードが豊富な極め付けのような本です。モンテカルロ積分の基礎から収束判定の数式がしっかり書いてあるなどかゆいところに手が届く感じですね。中級~上級者はこの本で勉強するとよいと思います。私もこれからこの本にトライします。

■最後に
日本のベイズ本はWinBUGSでのMCMCを紹介する本が多いのですが、残念ながらWinBUGSは開発がストップしちゃっています。JAGSやSTANなどの代替ツールが登場してきているので、今後はこのようなものが主流になってくるのだと思います。ちなみに、和書ではこれらのツールを詳述するものはありません。体系的な書籍の登場が待たれるところです。

タグ:ベイズ MCMC
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